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インタビュー・文 杉田宏樹 市原康(ドラムス) ピアニストが解放されれば100%成功だと思う |
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スタジオ/セッションみゆとして4ビートからフュージョンまで、幅広い活動を行っているベテラン・ドラマー、市原康は、どちらかといえばバイ・プレイヤー・タイプの名手。そんな市原がプロデュースを務める新しいプロジェクトが立ち上がった。その名も「i-produce」。これは市原が実質的なリーダーである初めてのユニットTRIO'のデビュー・アルバム『ワット・アー・ユー・ドゥーイング・ザ・レスト・オブ・ユア・ライフ』のレコーディングにおいて、サウンド・プロデューサーを一般公開するという異例の制作スタイルが取られたことと連動している。 | |
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「優秀+おまけ」マーク |
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ドラマーの市原康がプロデュースするピアの・トリオの初作品。1月に公開録音を行い、トラック・ダウンをするミキサーは公募。しかもトリオのメンバーは、このときが初顔合わせだったらしい。非常にジャズらしい状況の中で、演奏は程よい緊張感と、細やかな心遣いが感じられるものになった。市原はスタジオの仕事のキャリアが長いが、この作品ではアナログ的かつヒューマンなドラミングで、暖かいサウンドを作っている。福田重男はモーダルな感覚を持ったピアニスト。クールかつ知的なサウンドで、熱くスイングするというバランスの良さが魅力。ピアノの響きは非常に美しく、自分のスタイルを確実にもっている。もし日本で今、「欧州系ピアニストがブーム」だとすれば、福田にも注目すべきである。今までもさんざん書いてきたことだが、日本人の足下には宝石がころがっているのである。最近日欧間で大活躍のベーシスト森泰人は、暖かいサウンドと優れた歌心の持ち主で。この人が共演するピアノ・トリオは間違いないと言っていいだろう。トリオの演奏はそれぞれに個性的なテクニシャンが集まってるものの、個々が全体のために貢献する感覚が随所にあって良くまとまっている。また奇を衒ったような演奏は一切ない。ストレートな4ビートでスイングするC、ベースが見事に歌うD、歯切れの良いファンク・ビートが印象的なE等、収められた音楽も多彩で楽しめる。一級品だ。 |